平成28年度 ボランティア活動報告

わんこの預かりさんの川上さん 2/2

預かり&おさんぽボランティアの川上さんと Happy Choice 代表 田口との対談の続きです。
前回の記事では、おさんぽボランティアを始めた経緯やケイちゃんを預かる決心をしたきっかけをお話ししてくれました。

一年近く前、岐阜市畜犬管理センターに収容された「ケイちゃん」の預かり、譲渡をされた川上さんにお話をうかがいました。

収容された当初は、非常に警戒していたために、なかなかお散歩に連れ出せることができませんでした。代表田口がリードをつけるべく何度かトライした結果、お散歩にも慣れてきて、楽しんでくれるようになりました。可愛く甘えるときもありますが、時には噛むという行為をとることもありました。そんな折、おさんぽ会でケイちゃんを担当されていた川上さんが、預かりボランティアを希望され、川上さん宅で預かることになりました。のちに、お知り合いの方への譲渡が決まり、ケイちゃんは新しい家族が見つかり、幸せに暮らしています。

前回の続き

Happy choice 代表 田口(以下 田口

連れて行ったときのケイちゃんはどんな様子だった?


預かりボランティア&おさんぽボランティア 川上さん(以下 川上

最初はやっぱり、えっ?ここどこ?みたいな感じ、取りあえず私も一緒にいるから、その時はよかったけど、私が帰って2週間ぐらいはやっぱり暴れん坊で、ちょっとひどかったって。 お家の人はかなりかまれたみたい。なんか血が出るほど噛んだ、って言ってたんで、ちょっとえ~ってなった。

田口

ケイちゃんは歯がないというか平らだったよね。それでも血が出たんだよね。ほんとの本気で噛んだんだね。


川上

なんだけど、里親さんの方もすごい努力をしてくださって、結局2週間ぐらいで慣れたって、言ってました。
この前のお盆に会いに行ったら、お母さんにデレデレで、もうすごい可愛かったの。
えっ?これケイちゃんじゃなくない?っていうくらい、ちょっとぽっちゃりしてたけど、 幸せそうだったよね。いい顔してた。やっぱりここに連れて来てよかったなって思った。

田口

ほんとだね。うまくいきましたよね。
ケイちゃんを預かっていた期間はどのくらいだった?


川上

ケイちゃんが保健所に来たのは1年位前だった。2015年の3月ぐらい。2016年2月ぐらいに引き出ししたから、譲渡が7月で、5か月でリハビリがうまくいって、里親さんのところに行けた。
その間、何回か譲渡会に連れて行ったけど、あれはかわいそうだった。沢山いろんな人が来るし、触ろうとする人もいるから。ケイちゃんにはつらかったと思う。この子は噛むから触らないで、って言っても、自分は大丈夫、犬に好かれるからって来る人がいるから、こっちが守るのに必死になって、私もすごい疲れたし、ケイちゃんもすごい疲れたと思う。帰ってぐったり。だから7月の譲渡会には行かないつもりだったんだけど、その前に見つかったからよかったって思った。

田口

譲渡会はどの犬も負担にはなるので、時間や適性の見極めが必要。
ケイちゃんが譲渡された後って、どうでしたか?川上さんの気持ちとか、同居犬の子たち含めて


川上

すごいあった。そもそもケイちゃんを預かっている時に、二人ともすごい神経がまいちゃって、体調崩した。「ゆめ」はトイレが出来なくなって、意外と普段の生活はケロッとしてたんだけど、なんともないのかな?と思ってたら、トイレがそれまでずーっと出来てたのに、ストレスがあったんだと思う。で、「ありす」の方はあからさまに体調に出た、お腹がゆるくなってしまった。
後、ケイちゃんが夜中に凄く吠えるようになったのね。多分昼間私が仕事でいないから、昼間に寝て、夜になると寂しいから吠えるってなっちゃって、その時はわたしも参った。
泣き始めた日はホントに一晩中泣いてて、夜中の3時から6時までずっと泣いてた。それがずーっと続いたの、

田口

ずっと泣いてた?預かったその日から?


川上

何か月も経ってから、5月25日だったかな

田口

結構経ってからだね、ちゃんと甘えられるようになったから。毎晩泣かれたってこと?


川上

私が泣き出したかった。ホントにそれが1週間続いたときは、ホントに参ってしまって、仕事は行かないといけないし。
でね、病院の先生のところで、薬くださいっていいに行ったの。そしたらその先生は病気でないから薬はあげられません。って言われた。私の方が参ってまうと思って、どうしよう、どうしようと思って、結局寝る前に雨戸を全部閉めて、閉めれるところは全部閉めて、音が少しでも近所にもれないようにっていう対策をした。
ケイちゃんが吠えるとうちの犬も吠えるし、1週間ぐらいたって、どうしよう、どうしようと思って、ケイちゃんの音を消すためにラジオをつけようと思って、ケイちゃんの部屋にラジオを置きっぱなしにしたのね。ちょっと音を大きめにして。
そしたら泣かなくなった、その日から。
こんなことで泣かなくなるの?って、多分寂しかったんだと思った。私はそうとは思わなかったから、ケイちゃんが泣き出したら、テレビのボリュームを上げるってことをしてた、ケイちゃんにしてみたら余計に、寂しかったんだと思う。
ケイちゃんの気持ちになって考えてあげられない、と思って、ちょっと反省した。でもいい勉強になった。
そのことを病院の先生に言ったら、その先生が、セラピーのためにポニーを飼ってて、そういえばもともと2頭飼っていて、1頭がなくなったときにもう1頭がすごく泣くようになったんだって、これは近所迷惑だからどうしようって、馬を飼っている人に相談したら、ラジオをつけっぱなしにすればいい、って、結局その先生はそうせずもう1頭ポニーを飼ってきたんだけど、そういえばそうやって言われたんだったーって、もうちょっと早く教えてよって思った。

田口

ケイちゃんが譲渡されてからは、同居犬の方はどうでしたか?


川上

最初のうちはホントにいなくなったのかどうかわからないから、信用してなかった。外でガタッて音がしても、おっ、あいつじゃねえか?って、過剰に反応したりしてたけど、お部屋を見せていないでしょ?っていうのを毎回してたら、1週間ぐらいで気づいたみたい。

田口

今後もそういう経験はしてみたいって思う?


川上

してみたい。ケイちゃんとのことは、私にとってもいい経験になったと思う。

今後について

田口

チョイスの今後についてなんですが、こんなことしてくれたらいいのにっていうのがあれば、自分がどうやってかかわっていきたいなとか


川上

ボランティア説明会の時でもいいんだけど、最低限犬に接するときのマナーを伝えてほしい。

田口

お散歩の時?例えば?


川上

例えばだけど、嫌がっている子を触らないでとか、すごい嫌がっているのに顔を持ったりするのは、やめてあげて~って思う。

田口

その子の素性によって合わせて、接しないとね。


川上

おやつのあげ方でもさ、もらい慣れてる子もいるけど、手から食べたことない子もいるから、そうすればあげ方だって変わるよね、それを同じようにあげたらだめだよ。
過剰に待てをさせる人とか、犬同士が近づいているのに危機感がない人とか、そういう細かいことだけど大事なんじゃないかって思う。
リード持っている以上はちゃんと犬を見ててほしい。

田口

知らずにやってる人がほとんどだからね。自分は良かれと思ってやってるから。

ホントの危険な状況を知らないんだよね。自分ちの犬が基準になってて、フレンドリーな犬を飼っている人はホントにわからない。言っても感覚までは分からない。ガーっていうのを見たことがある人は、危険な感じをインプットしているよ。今後ちゃんと説明した方がいいね。説明会でそれを徐々にみんなが知っていったら、その人のスキルも上がるし、新しい参加の人にも伝えていけるようにしたいね。


田口

おさんぽ会に限らず、保健所、行政関係、ボランティア、ペットに関することに関して思われていることってある?


川上

ペットショップで犬を買わないでほしい。未だにペットショップで犬を買うっていうことが、どういうことかっていうことを知らない人が多い。
私は生体を売っているところでは品物を買わないんだけど、一応それは自分のこだわりでやっている。
仲がいい人には犬どこで買ってるって聞く、ペットショップで犬を買ったって言ったら、親の顔を見たことある?って、だいだい無いっていうよ、そういうところから小出しにして私はこういうボランティアをしてるから保護犬のこともよかったら考えてみてって、言っているけど、知らなかったっていう人が多いけど、じゃぁ次からはそうするって言ってくれる人が大半。

田口

10年後の里親さんを見つけているね。


川上

私は雑種でもなんでもいいんだけど、別にこだわりはないから、ペットショップで犬を買う必要がない、と思っている。
だけどどうしてもやっぱりこういう犬種がいいっていう人もいる、それはそれでいいと思うけど、ちゃんとしたブリーダーから買ってほしいと思うし、この犬種ならって里親になりたいなら、それもそれでいいと思う。とにかく人がやった結果だもんね。

田口

純血種の犬もたくさん収容されるからね。新しく犬を家族に迎え入れる時は保護犬も選択肢の一つであって欲しい。高齢のわんこの収容が多いんだよね、みんな事情はあるとは思うけど、今まで一緒に暮らしていたわんこは最後まで飼うって、最後は飼い主さんがちゃんと看取ってほしいとホントにそう思うよ。


対談を終えて

おさんぽ会の時はどうしてもたくさんいるわんこ達の様子に注意を払っているので、ゆっくりと皆さんたちの犬に関するいろんな気持ちは聞く機会が少なかったと思います。
今回は対談という場を設けたことで、川上さんのわんこに対しての真摯な気持ち、ケイちゃんとの生活など、詳しく知ることができて、ものすごくよかったです。