平成28年度 ボランティアさん活動報告

● 今回は、Happy choice のあらゆる方面の活動にご協力していただいている3名のボランティアさんと代表 田口が対談しました。

わんこの預かりさんの川上さん 1/2

預かりボランティアについて

預かりさんとは?

岐阜市畜犬管理センターに収容されているわんこを引き出し、新しい家族が決まるまで一時的に預かるボランティアです。(岐阜市保健所にてボランティア登録をしていただく必要があります)

わんこの心身のリハビリもかねて、家庭での生活にも慣れていってもらいます。生き物を預かるわけですから、責任や信用が必要になってきます。わんこの生活環境も整えていただき、健やかな毎日を送れるように努力をされています。

 

Happy choice では預かりさんのサポートとして、里親募集、預かりワンコとの生活のアドバイスをしています。

一年ほど前に岐阜市畜犬管理センターに収容された「ケイちゃん」の預かり、譲渡をされた川上さんにお話をうかがいました。

収容された当初は、非常に警戒していたために、なかなかお散歩に連れ出せることができませんでした。代表田口がリードをつけるべく何度かトライした結果、お散歩にも慣れてきて、楽しんでくれるようになりました。可愛く甘えるときもありますが、時には噛むという行為をとることもありました。そんな折、おさんぽ会でケイちゃんを担当されていた川上さんが、預かりボランティアを希望され、川上さん宅で預かることになりました。のちに、お知り合いの方への譲渡が決まり、ケイちゃんは新しい家族が見つかり、幸せに暮らしています。

ボランティアを始めたきっかけ

Happy choice 代表 田口(以下 田口

 Happy choiceは2013年からおさんぽ会を始めましたが、川上さんが参加するようになったのはいつ頃です?


預かりボランティア&おさんぽボランティア 川上さん(以下川上

いつだったか覚えてない。大将(保健所の犬)がいた時で、今とは違うところでお散歩してた頃だと思う。だから、2014年2月頃だったかな。

「大将」は、黒色のラブラドール・レトリーバーのミックスの子。長い間センターに収容されていましたが、その後新しいご家族のもとへ

田口

2014年2月か、大将はかなりセンターにいたから。おさんぽ会をはじめて最初のころだね。おさんぽ会に参加しようと思ったきっかけはなんだった?


川上

もともと犬に関するボランティアをしたいと思っていて、でも当時はずーっと仕事も忙しくってできなかった。
今の仕事に変わったときに、やっと自分の時間が持てるようになって、土日も休みだし。で、今なら何かできると思って、何をやろうと思ったときに、いろいろ調べて気になった団体のシェルターのことを知ってその日に予約して、もう次の日にはシェルターに行きました。私はやりたいと思ったらすぐやりたいタチなので、、、
シェルターには何回か行きましたよ。でもね、朝から晩まで、朝7時に家を出て、帰ってくるのが夜の9時。結局その家の子たちはほったらかしになるから、それも気になっていたし、かといって作業の途中で帰ってくるのもちょっと気が引けるかなって、やっぱり最後まで見届けたいなあと思いもあった。それを何回か繰り返して行っているうちに、ちょっときついなと思って、もっと近くに何かないのかなあと思って探したのが、おさんぽ会です。

田口

おさんぽ会はどうやって探したの?FB?


川上

だったかな~、はっきり覚えてない。ブログだったかな?
見つけた時は、岐阜市でもこういう活動をしている人がいるんだと思って、やっぱり私は啓発活動も大事だと思うけど、取りあえずわんこと触れ合える、そういうボランティアをしたかったから一回行ってみようと思って参加したのね。それが2月だったんだけどね。
で、行ったはいいけど、自分にスキルがなくて、困ったワンちゃんがいた時に相手ができないと思って、今までトレーニングとかしたこともなかったから、それでトレーニングスクールに通うようになった。 それにトレーナーさんがどういう風に犬を扱うのかというのを見たかったのもあって、取りあえずトレーニングスクールに通いだしたんだけど、おかげでおさんぽ会に行けなくなった。

田口

あー、おさんぽ会は当時は週末だけだったからね。


川上

そのスクールでもボランティア活動をしていて、そこのミーティング会場で田口さんとまた会うことができて、あっ、この人がおさんぽ会の人なんだ、わぉ~すごい、と勝手に心の中で思ってた。

田口

全然知らなかった。そっか、それから来てくださったってことなんだね。


川上

そういうこと。それで、スクールのボランティア活動は私がホントにやりたいものとはちょっと違うと思うようになって、

田口

川上さんは直接わんこと触れ合ってボランティアをしたいと思っていたから、ちょっと違うって思ったんだ。


川上

そうなんです。

おさんぽ会に参加してみて

田口

それでおさんぽ会に参加してくれるようになって、最初にリード渡したのって大将?


川上

その時は人の方が余っていたから、この子ねっていう子はいなかった。私はハミイちゃんと遊んでた。

田口

ハミイと遊んでたんだ。へぇー面白いね。
それで実際おさんぽ会に来てどうでした?犬の散歩をしようと思った時とか、例えば保健所の犬を見てどうだった?施設を見て、


川上

・・・・施設を見た時は、結構衝撃的だった。その小さいなってのいうのもあったし、自分のイメージしてたところとは違っていて、もっと広いイメージを持っていた。それにちょっと衛生的ではないよね。

田口

じゃあ施設としては、かなりそう思うほど良くないってことだね。犬にとっても


川上

うん・・・・ちょっと衝撃的だったかな

田口

それでも毎回参加し続けたいと思われたのは?


川上

やっぱりね、お散歩に行くといい顔する、やっぱり外に出たいよね、ずっと閉じ込められっぱなしになってるし、行くたびに表情を変えていくのを見るのが楽しみ。

田口

そうそう、変わっていくよね。ケイちゃんなんかホントいい例じゃない?


川上

最初はあんなにガウガウだったのに、気が付いたらおなか見せてコロンってなったときは、私は泣きそうだった。

田口

実感されたんやね、おさんぽ会に来ているときに、


川上

するよ、するする、それはみなさん感じてらっしゃると思う。

田口

たしかに、皆さんそう言われる。


川上

それが何日かかるかって、その子次第でわからないけど、長くかかってもあきらめたらだめ、毎回少しづつ変化があってそれが楽しみ。

田口

通えばそれがわかるってね。たまにとかだったり、1回や2回ではわからないもんね。そっか通うってそういうことか。


ケイちゃんを預かってみて

田口

ケイちゃんの名前が出たけど、ケイちゃんと出会ったのは去年で長くいたんだよね。その出会いの頃って覚えてる?それとケイちゃんを預かるにあたった経緯をどういう心境があったのかを聞きたい


川上

もともと預かりもやってみたいと思ってて、だけどできるかどうか自分に自信がない。預かったけどやっぱり無理だから返すではダメだからね。
だから、自分の中でチャンスを伺っていてそういうところもあって、それに自分で今飼っている子もどういう反応するのかっていうのもわからないからね、そういう不安もあった。いろんな不安もあったけどやってみたいなとは思ってて、それこそケイちゃんが初めてコロンとなった時はキュンとなった。

田口

コロンとした場所はどこなの?おさんぽ会の時?


川上

おさんぽ会の時で、お散歩から帰ってきてセンターの敷地内で、私がリードを持ってほかの人と話してたんだろうね、そしたら足元でウネウネしてるなと思ったら、ホントにコロンってなって、おなか見せてるこの子!って、

田口

その時は僕も呼ばれた。


川上

すごい衝撃的だった。ホントにうれしかった。
みんな「うひょー」って、その前の時までホントに、結構ガブガブしてたから慣れてきて触れるようにはなったけど、ガブガブもあった。洗えなかったし・・・・
その時から自分ちの子にしようか預かりをしようか、ずっと悩んでた。ただ、自分ちの子にしてまうと、今飼ってる子たちとあわなかったらと思うとそれは困るなと。
どうしよう、どうしようと思ってて。ましてやうちの子とケイちゃんはタイプが違うし、ずっと悩んでた。そしたらそのタイミングで、犬舎がいっぱいになったって田口さんがケイちゃんを引き出しして預かられたよね。あの子をあそこに返すぐらいやったら、私が預かろうって思って、だから多分タイミング。

田口

そっか。みなさんによく言うけどお散歩してほしい人がいるのよね、その子はその人にしてほしいからいつもその人に渡すのよね、で、やっぱり相性があって帰ってくる顔とか、川上さんとケイちゃんはご縁があったのかなって、とてもいい二人だなって思っていたので、そう意味ではケイちゃんは川上さんを必要としていて、川上さんだからそうなったんだろうって、僕は今でもそう思う。
とてもいい流れだったんじゃないですか。そのタイミングであったり・・・・もちろんケイちゃんはセンターに長居したからね、もっと早くにと考えてたらきりがないので、あれはあれでそういうタイミングだったんだと思う。
その後のことも是非、預かった後、今は里親さんのところに行ってますよね。そういう経緯も教えてください。


川上

預かった後、やっぱりうちの犬と合わなくて、結局部屋を別々にして、面倒見ることになったんですけど、私にはすぐに来た初日から心を開いてくれていて、やっぱり外とは違うセンターとは違う環境で、ある程度守られているというか、確実にご飯ももらえるし、朝晩お散歩にも行けるしっていう状態になった。
その時から、急速に距離が縮まった感じ。もっと縮まった感じが私にはすごくして、ホントにかわいい表情を見せてくれるようになった。ほんとに可愛かったんです。
で、何とかこの子を幸せにしてあげたいと思って、それに加えてトレーニングしてから譲渡したいと思っていたので、人通りの多いとこ行ってトレーニングしてみたりした。
大きな男の人が苦手でしょう、だからうちの近くに工場があってその出勤時間に合わせて連れていくんです。いろんな人が通るので、若い人から結構年配の方で、男の人女の人が通るので、わざわざそこに行って、ちょっと隅っこの方で、まずはタッチ(鼻先で手のひらをつっつくこと)の練習。それからあとは、いろんな人が通ってても気にしないでいられるように、吠えたりしないでいられるように、と思って、毎日それをやっていました。

2016年2月のセンターおさんぽ会告知ポスター
代表 田口が川上さんとケイちゃんとの関係性に感動した瞬間をとらえた一枚です。
寄り添っているケイちゃんの表情がなんとも言えないですね。

田口

それ重要ですね。どういうトレーニングなのか、慣らそうと思って無理してリード引っ張って、触ってもらったりしようとするけど、それはしない方がいい。


川上

それを何回か繰り返すうちに、ある時たまたま前から年配の太った男の人が来たんです。
あっと思ったんだけど、もともと吠えてたでしょ男の人には、トレーニングにも慣れてきたし出来るかなーと思って、行ったらすれ違う手前で、すっと私の陰に隠れたケイちゃんが、おぉー!と思って、すごい進歩!もう吠えなかった。私すごいうれしかった。ホントにうれしかった。

田口

その素晴らしさに気づける人いるかなぁ、それ自体がすごいことだよ。


川上

あの子がやっぱり頑張ってくれたんですね、私もそれに答えたかった。それでちっちゃい積み重ねを徐々に、
あと日曜日に今通っているスクールの団体さんにに協力してもらって、月に2、3回連れて行ってました。その時はサークルを大きく囲ってケイちゃんに初めて会うヒトに来てもらって、みんなにケイちゃんを呼んでもらってタッチしてもらうんです。タッチできたらおやつをもらう、ていう風なのを何回もやりました。

田口

その時は噛むこともなかった?


川上

なかった。あの子は、私といれば安全ということを学んだんですね。私と一緒にいる時は、もし誰かが触りに来てもこの犬噛むから触らないで、これ以上近寄らないで、って言う風に声をかけることができたので、多分安心感が生まれてきたかなって思う。

田口

ケイちゃんを預かってからほかの方に対して噛むことはあった?


川上

自分にはなかったけど、旦那は何回か噛まれた。
旦那も結構協力的で、おさんぽに連れて行ってくれたり、わざわざご飯をあげてもらったり、っていうことをやってたんですけど、でも旦那にも1週間ぐらいで慣れてました。
ただね、急に手を出したりとか、お水の器が空になっているから、変えてあげようと思って器を持ったら噛まれた。っていうことはあった。
やっぱりそこまでは、旦那には心を許してなかったんだろうね。もうちょっと旦那の方に注意が必要だったかもしれないけど、そこまでやっぱり油断してたところもあったと思う。その時は触れるからね。

田口

何に執着しているかはわかりにくいからね。
そして、いよいよ譲渡になるわけだけど


川上

譲渡の時は私の知り合いのところに行ったんですけど、長く飼われてたワンちゃんを2、3年前に亡くされて、それ以来犬を飼ったって聞いてなかった。私がイメージしていたケイちゃんを譲渡するならこんな人っていうイメージにぴったりな人達だったのね。
どんな人かというと、まず夫婦二人で子供がいない。ちっちゃい子供とかもいなくって、今はまだ仕事してみえるんだけど、ある程度犬に割く時間がある。お散歩もちゃんとしてくれて、犬の気持ちを優先してくれるご夫婦。今でもお家の中でフリーで飼われているんですけど、もうとにかくのんびりケイちゃんにはしてほしい。そういう環境で過ごしてほしかったので、聞いてみたら、じゃあ一回見に行くって言われた。
これは!と思って見に来てもらったら、じゃあいいよって・・・・あっ、いいの?って、噛むんですけどいいの?って、もちろんかむことも言ったし、フィラリアが陽性だってことも言った。男の人が苦手だよ、とかいろんなことを言ったんですけど、それでもいいって、そう言ってくださったので、じゃあ、不妊手術をしてからお届けします。
ってことになって、不妊手術して、術後の経過もよかったので、その2週間後にお届けに行きました。